コーヒー豆の保存 (その2)
前回は、酸素と光がコーヒーの劣化要因であることを説明しました。ただ、それらは消費者ではなく主に製造者が考慮すべきものです。
( 前回の記事はこちらから コーヒー豆の保存 (その1) をみる。 )
今回は消費者である皆さんが保存に当たって気をつけるべき劣化要因を解説します。
【劣化要因3ー水分 (湿気)】
意外かもしれませんが、水分は短期間で大きくコーヒー豆を劣化させます。コーヒー豆に含まれる成分は、水分と結合すると不快な酸っぱい酸味を発生させるからです。
コーヒー豆を保存していたら酸化して酸っぱくなった、と感じる方もいると思いますが、たいていの場合その原因は酸素ではなく水分です。そのため、コーヒー豆を保存する際はいかに乾燥した状態を保つかが重要になってくるわけです。
【劣化要因4ーコーヒー豆の状態 (豆か粉か)】
コーヒー豆をどのような状態で保存するか、つまりは豆のままか粉に挽いた状態かが劣化速度に大きな違いを与えます。
劣化を早めるのは粉に挽いた状態です。
これは劣化要因3の水分と関係しますが、粉に挽くと吸湿性が大きく高まり、水分による不快な酸味の発生を急速に進行させるためです。また、酸素との接触度合いも高まるため、酸敗による風味劣化の原因ともなります。
より美味しいコーヒーを楽しむためには、豆の状態で保存し、使用する都度粉に挽くことが極めて重要です。
【劣化要因5ー温度】
保管温度はコーヒーの劣化に影響を与えますので、常温、冷蔵、冷凍のうちどれにするかは悩むところだと思います。
スーパーに陳列されているものはほとんどが常温なので、常温で問題ないように思えますが、コーヒー専門店等では冷凍を強く勧められることもあります。
結論からいうと、劣化速度は温度が高いほど速く、低いほど遅いです。よって、季節によりますが常温よりも冷蔵の方がより安心と言えます。
では、冷蔵と冷凍はどちらが望ましいのでしょう?もちろん温度の観点から語ると、より低温である冷凍の方が劣化は抑えられます。ただし冷凍すると、豆が外気に触れた際に結露を起こしやすいという問題があります。
結露=水分なので、水分により逆にダメージを与えてしまう恐れが出てきます。よって冷凍したものを使用する際は、急に常温にさらすのではなく、一度冷蔵庫内でゆっくりと解凍してから使うなどの工夫をしたほうがよいでしょう。
当店としては、結露による劣化が少ないことや、年中安定した温度下で保存可能なことから、基本的には冷蔵保存をお勧めしています。
【まとめ】
説明した劣化要因から、パッケージングや季節、消費までに要する期間によって適切な保存法が異なるということが理解していただけたかと思います。
それでは、ここからは皆さんの使用法に沿った保存の仕方について考えていきたいと思います。
●春季、夏季に使用する場合
気温が高いため原則的に冷蔵保存が良いでしょう。夏季は特に湿度も高いため、水分を通さない密閉容器に入れて冷蔵庫で保存することをお勧めします。
●秋季、冬季に使用する場合
暖かい季節同様、冷蔵保存が基本にはなりますが、2週間程度の短期間で消費する場合は常温保存でも大きな問題はないかと思います。ただし湿気を防止するため、密閉容器には入れておきましょう。
●長期間保存する場合
ギフトでたくさんのコーヒー豆をいただいた際などは、飲みきるまでに時間がかかってしまうと思います。そのような場合には冷凍庫を活用しましょう。1ヶ月程度で消費できる分量は冷蔵庫へ、それ以上の分量は冷凍庫で、水分による劣化を防ぐため密閉容器に入れて保存しておきましょう。
上記で保存法の例をあげましたが、いずれの場合おいても粉よりも豆のままの方が圧倒的に保存性が良いです。コーヒーを粉で購入されている方は是非ともコーヒーミルの使用をご検討ください。