コーヒーミルの選び方 (その2)

前回の記事はこちら。 
コーヒーミルの選び方 (その1)

では、コーヒーミルの基本について理解したところで今回は具体的な機種の例を挙げながら、皆さんにぴったりのものを選んでいきたいと思います。

【選択肢1. 手動ミル】

粒度均一性○ 扱いやすさ△ 価格帯 低

手動ミルは臼式を採用しているため、粒度均一性は概ね良好です。また、安価なものも多いので入門用としてオススメです。ただし、挽くために長時間ハンドルを回さなければならないことや、粒度調整するためには分解しなければならないことなど、扱いにやや不便さが感じられるのが欠点です。

手動ミルはある意味、趣味性の高い商品なので、コーヒー豆を挽くこと自体を楽しんでみたい方、メンテナンスしながら長年愛着を持って使いたい方に向いていると思います。

【選択肢2. ブレードグラインダー (電動)】

機種例:カリタ CM-50、メリタ ECG62
粒度均一性△ 扱いやすさ△ 価格帯 中

ブレードグラインダーのメリットは、構造がシンプルなため、電動ミルのなかでは最も安価であることです。ただしデメリットも多く、その中で大きな問題となるのは、粒度均一性や粒度の再現性が低いということです。

高速回転するブレードの打撃で粉砕するという構造上、ブレードに何度も当たった豆は細かく挽かれ、そうでない豆は粗いままということになります。粉に湯をかけた際、細かく挽かれたものは過抽出となり、粗いものは抽出不足になるため結果として抽出のブレが起こるのです。

また、ボタンを押している秒数だけ挽かれるという仕組みなので、例えば、10秒間挽いた豆と12秒間挽いた豆では粒度が変わってしまいます。使う度にきっちり同じ秒数で挽くことはなかなかできないと思うので、粒度の再現性は低いということになります。

ここまでデメリットばかり挙げて申し訳ないですが、やはり低予算で電動ミルが手に入るというのは魅力的です。現在コーヒーを粉で購入している方は、挽きたて、淹れたてのコーヒーを味わう第一歩として選択してみる価値はあると思います。

【選択肢3. 臼式 (電動)】

機種例:デバイスタイル GA1-X、メリタ CG-5B
粒度均一性○ 扱いやすさ○ 価格帯 中~高

家庭用電動ミルとして最も普及しているのがこのタイプなので、様々なメーカーのものからお気に入りの一台を見つけやすいと思います。粒度均一性は良好ですし、粒度をダイヤルによって調整可能なので再現性も高く、大変使いやすいミルと言えるでしょう。極細挽き対応の機種が多いのもメリットの一つです。

価格は中~高価格帯まで様々です。安価なものは、挽く速度が遅い場合があるので、希望通りの粉砕速度か事前に調べておくことをお勧めします。また、挽く際にボタンを押し続ける必要があるものと、一度押すと自動で挽き続けるものがあります。当然使い勝手が良いのは後者なので、その点も購入前にチェックしておきましょう。

【選択肢4. フラットカッター (電動)】

機種例:カリタ ナイスカットG、ボンマック BM-250N
粒度均一性◎ 扱いやすさ○ 価格帯 高

円盤状の鋭利な刃が高速回転することで、パワフルに豆を挽くことができます。粒度均一性が極めて高く、さらには粉砕速度も速いため、業務用ミルで使用されることが多いタイプです。

豆を切るように粉砕することで、雑味の原因となる微粉の発生が抑えられ、コーヒーの風味をより一層クリアにしてくれるという利点もあります。高い耐久性を持つ高性能ミルであるため、価格帯が上がってしまいますが、「せっかく買うなら最高のものを」と考えている方には最良の選択肢だと思います。

ただ、注意してもらいたいことが2つあります。

1つ目は、極細挽き非対応機種が多いことです。エスプレッソ用の極細挽きを使用される方は、臼式ミルを選択したほうが良いでしょう。2つ目は、周囲へ粉が散らばりやすいことです。フラットカッターは基本的に業務用として設計されているため、粉の散らばりに関して対策を講じていることが少ないです。その点、家庭用途を前提で設計された臼式ミルは、粉受けが密閉型になっており、周囲が汚れないよう工夫している機種が多いです。

それらの注意点を理解した上で導入するのでしたら、フラットカッターは美味しいコーヒーを日常的に楽しむための最高の相棒になってくれるでしょう。

今回の説明で、コーヒーミルといっても機種によって様々な特徴があることを理解していただけたかと思います。美味しいコーヒーを皆さんに楽しんでいただくため、これからも役立つ情報を発信していきたいと思います。