コーヒーの焙煎について

コーヒー豆が生産国から日本に運ばれる場合、焙煎する前の生豆であることがほとんどです。よって、日本国内で焙煎の工程を経て、消費者の元へ届けられることになります。

コーヒーの焙煎は多くの方にとって馴染みが無いため、特殊なことをしていると考えられがちですが、我々焙煎業者がしているのは「生豆に熱を加える」という至ってシンプルな作業です。極端な話、フライパンで生豆を煎っても焙煎はできますし、オーブントースターで数分加熱するだけでも焙煎豆を作ることができます。

ただし、風味に優れた焙煎豆に仕上げる為には専用の焙煎機を使用するべきであり、さらには焙煎に関するノウハウや科学的理論に熟知している必要があります。要はそこが焙煎業者の腕の見せ所というわけです。

どのようなタイプの焙煎機を使うか、熱源の種類は、焙煎にかける時間は等々、考え始めればキリがなく益々小難しい話になっていくので、今回は皆さんが理解しやすい「焙煎度」について解説いたします。

コーヒー豆は焙煎が浅いほど相対的に酸味が強くなり、深いほど苦味が強くなるという特徴があります。よって、焙煎豆の色を見るだけで風味の傾向を大まかに予測することが可能です。焙煎度は「浅煎り」「中煎り」「中深煎り」「深煎り」の4段階、さらに細分化するとライトロースト~イタリアンローストの8段階で表記されます。

【浅煎り:ライトロースト~シナモンロースト】
極めて明るい、オレンジ色を帯びた茶色の外観をしています。この焙煎度ではほとんど苦味が感じられず、酸味重視で軽い風味のコーヒーに仕上がります。一般的には販売用として店頭に並ぶことは少なく、主に我々焙煎業者が風味の鑑定を行う際に使用される焙煎度です。

【中煎り:ミディアムロースト~ハイロースト】
比較的明るめの茶色の外観をしています。苦みよりも酸味が感じられやすいため、上質な酸を持つ生豆に適した焙煎度です。近年では質の高いスペシャルティコーヒーが普及してきた背景もあり、中煎りを採用する業者が増えてきた印象があります。

【中深煎り:シティロースト~フルシティロースト】
いかにもコーヒー豆らしい、焦げ茶色の外観をしています。酸味と苦味が共存した味わい豊かな風味に仕上がるため、当店では多くの銘柄に中煎深りを採用しています。

【深煎り:フレンチロースト~イタリアンロースト】
茶色を通り越し、黒みがかった外観をしています。苦味重視の力強い風味が特徴で、ブラックで飲むのはもちろん、ミルクで割ってカフェオレにするのにもオススメです。

焙煎度と風味の関係性を理解しておくと、コーヒー豆を選ぶ際にとても役に立つと思います。コーヒー豆を購入する際には、焙煎度を聞いてみたり、外観を見させてもらったりすると良いですよ!