コーヒー生豆ができるまで

皆さんはコーヒーの生豆(なままめ)を見たことはあるでしょうか?当店では生豆がお客様からよく見える位置に置いてあるため、その意外な見た目に驚かれる方もいます。生豆は青白いもの、やや黄色みがかったものが一般的で、麻袋や真空包装の荷姿で生産国から輸送されます。

コーヒー豆は日本国内ではほとんど生産されていないため、多くの方には馴染みのない作物と言えます。そこで今回は生産国から日本に届けられる生豆がどのように作られているのか説明していきたいと思います。

コーヒー豆はコーヒーの木になる、コーヒーチェリーと呼ばれる赤い実(黄色の品種もあります)の種の部分にあたります。

収穫されたコーヒーチェリーは内部にあるコーヒー豆を取り出すため、果肉の除去と水分を含んだコーヒー豆を乾燥させる作業が行われます。果肉の除去と乾燥の方法は、生産国や農園毎に様々で、その手法の違いがコーヒーの風味の個性を生み出します。以下に代表的な手法を紹介します。

●非水洗式(ナチュラル)
収穫したコーヒーチェリーをそのまま乾燥させ、その後果肉を除去し生豆を取り出す。丸みのある柔らかい風味になることが多い。

●水洗式(ウォッシュド)
収穫直後のコーヒーチェリーの果肉を除去し、水洗行程を経て、水分を含んだ状態の生豆を乾燥させる。すっきりした爽やかな風味になることが多い。

その他には、ブラジルや中米の一部で盛んな「パルプドナチュラル」やインドネシアで行われる「スマトラ式」等があり、それぞれ特徴ある風味を生み出します。

上記のような方法で果肉の除去と乾燥が行われたコーヒー豆は周囲を覆う固い殻(パーチメント)を除去する行程を経た後、麻袋や真空包装の荷姿で世界各国へ出荷されます。コーヒー生豆は一梱包当たりが重く、一度に出荷される量も莫大なため、原則的に船で運ばれます。

コーヒー豆は赤道に近い亜熱帯地域で栽培されることがほとんどであり、船で輸送する際にも高温多湿である赤道付近を通る場合が多く、輸送時の品質劣化が起こりやすいという問題があります。そこで近年、特にスペシャルティコーヒー豆では、その劣化を最小限に抑える為リーファーコンテナと呼ばれる温度管理設備を使用し輸送されることが多くなってきました。また、日本に到着後も定温倉庫で保管され、良質な状態で焙煎業者に届けられるよう厳重に品質管理されています。

当店に届けられる生豆は、その栽培を行う生産者はもちろん、加工業者や輸出入業者、また倉庫管理業者や買い付け商社など様々な方々の努力によって生み出されています。

私は焙煎業者として、それらの方々の期待に応えるため、また多くのお客様に素晴らしい美味しさのコーヒーを味わっていただくため、より一層努力していく必要があると感じています。